薬膳の書

* * * 第二十五弾 * * 「アガリクス茸」 * * *

世界が注目している今話題のキノコ!

原産地は、南米ブラジル。ブラジルでは神のキノコと呼ばれている。日本では、カワリハラタケヒメマツタケと呼ぶこともある。大きさは、マツタケを小ぶりにした位。ごく限られた地域ブラジル南部のピエダーテ地方に自生。熱帯地方の特色である高温多湿が好適所。近年、様々な研究発表により、免疫力を高めたり、抗ガン作用に効き目のある成分を多く含んでいることがわかり、世界中で注目されています。
ハウス栽培、人工栽培の技術も確立され、世界各地で生産され、流通量激増中。
                      −ハラタケ科−

−薬効・効用−
多くのキノコには、抗ガン作用があるといわれている。現在使用されている抗ガン剤の中にも、キノコから抽出した成分をもとに作られているものもある。“アガリクス”は、その中でも、極めて 有力な抗ガン作用をもっている。ガンに対する免疫細胞を活性化させる成分(β-グルカン)を多く含んでいる。免疫細胞を活性化させることにより、いろいろな症状に効果がある。ガンの他にも、高血圧、心臓病、動脈硬化、糖尿病、膀胱炎、リウマチ、気管支炎、自律神経失調症、アトピー皮膚炎、花粉症、更年期障害、便秘、腰痛、肩こりなど様々な症状の改善に効用がある。

−栽培・流通−
自己分解酵素が強いアガリクスは、収穫して2日間ほどしか日持ちのしないキノコ。
生の場合は、焼いて食べるのが一般的。マツタケのような香ばしさがある。原産国のブラジルでは、サラダやマリネにして食べる事が多い。日持ちしないキノコなので、乾燥品が一般的に流通している。干しシイタケのように水でもどし煮込んだり、水から高温でよく沸騰させ、煎じて飲む。エルゴステロールという成分が含まれていて、乾燥させると、ビタミンD2に変化する。ビタミンD2は、人間の骨や歯の発育・生成のために必要不可欠な栄養素である。乾燥粉末や固形化したものもあり、そのまま飲むとよい。

ハウス栽培が一般的で、日本でも三重県で最初に人工栽培が成功して以来、茨城、山梨長野、静岡、鹿児島、愛媛などで栽培されている。中国での流通量が多く、比較的に低価格で出回っている。ブラジルでは、ハウス栽培もされているが、唯一、露地栽培されている。その他、韓国、インドネシアでも栽培されている。

−キノコの特徴−
キノコは、植物ではなく「真菌類」に属し、子実体(笠の部分)を持つ物がキノコと呼ばれる昔から薬理効果は知られており、古代中国では「不老長寿の源」と考えられていた。
キノコの成分は、種類によって、含有量は違うが、糖質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、繊維質の「六大栄養素」を含んだバランスのよい食品。

−いろいろなキノコ−
椎茸(シイタケ)
(ヒラタケ科)
β-グルカンの他に、血圧やコレステロール値を下げる成分も含む。紫外線にあたるとビタミンDに変わるエルゴステロールも多く含む。生シイタケより干しシイタケのほうが薬効が優れている。
松茸(マツタケ)
(キシメジ科)
人工栽培が不可能なので研究が遅れているが、食用キノコの中で、ガンの阻止率が高いと言われている。香りは揮発性の物質なので、土瓶蒸しのように熱を加えると香りが引き立つ。糖質を多く含む。
エノキタケ
(キシメジ科)
キノコの中でビタミンB1を一番多く含む。ナイアシンも含み、ビタミンB1に有効作用して、糖質や脂質の代謝を高めるのでダイエット効果に期待大。不溶性の食物繊維を含んでいるので、便秘解消に役立つ。フラムトキシン(タンパク質の一種)には強心作用があるので、心臓病治療に役立っている。
舞茸(マイタケ)
(サルノコシカケ科)
サルノコシカケ科では数少ない食用キノコ。マイタケから抽出したβ-グルカンの免疫活性は、エイズ治療にも利用された。塩分を排出するカリウムやビタミンB1、B2は、キノコの中で多く含み、食物繊維も豊富。
ナメコタケ
(モエギタケ科)
ナメコのぬめり成分「ペクチン」は、腸内でコレステロールや発ガン性物質を吸収し、体外に排出する。動脈硬化やガンの予防に効果あり。ナメコから抽出したβ-グルカンは、マツタケに次いでガンの阻止率が高いとも言われている。
シロタモギタケ
(ヒラタケ科)
店頭で「本しめじ」として売られているのが、シロモギタケ。うまみ成分であるグルタミン酸やアスパラギン酸が豊富。必須アミノ酸を多く含み、コレステロールを抑制したり、肝機能を高める働きがある。食物繊維やビタミンB2も富んでいる。
木耳(キクラゲ)
(キクラゲ科)
食物繊維の含有量が74%以上で、大腸ガン予防に効果がある。コレステロールを抑制し、動脈硬化の予防・改善に効果がある。体内でビタミンDに変わるエルゴステロールを多く含むので、カルシウムの吸収を助ける。白キクラゲは、希少価値が高く、漢方として珍重されている。
ヒラタケ
(ヒラタケ科)
市場で「しめじ」として流通している。タンパク質、ビタミンB1、B2をバランス良く含んでいる。17種類のアミノ酸を含んでおり、アミノ酸不足を補う。β-グルカンも含み、抗ガン作用も期待できる。
コウタケ
(イボタケ科)
強い香気が特徴で、キノコ茶やキノコ酒に使われたり、昔から精進料理の珍菜とされてきた。痔に効くので、民間薬として利用される場合もある。
コフキサルノコシカケ
(サルノコシカケ科)
あまり知られていないキノコ。落葉広葉樹林の広葉樹の切り株に発生する多年生のキノコ。笠の形は半円形。直径30〜60cm、肉の厚さ10〜20cmと大きなキノコ。肉はチョコレート色で堅い。煎じて摂取する。止血、健胃、抗ガン、心臓病、腎臓病に効果がある。

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