薬膳の書

* * * 第十三弾 * * 「ひし」 * * *

忍者が敵にまく、“蒔きビシ”は、この実のことなんですよ!

1年生の水草で、茎は細長く、水の深さと同じ。
葉は、水中葉と水上葉があり、水中葉は根の
形をしている。水上葉は、菱形をしている。
この菱形の葉の形から、“ひし”となったのでは
ないかと言われている。
葉柄の部分には、空気を貯えるようにできており、
これが、浮き袋のような働きをするので、水に浮く
のに便利な植物構造となってます。
(写真左下は、干した菱の実)

白色の4弁の花が咲き、2個の“がく”が左右斜めに鋭くとがった刺針になる。
食用にする種子は、子葉で、タンパク質とデンプン質を含んでいる。
他に、オニビシヒメビシがあり、ヒシより小さく4本刺針があるのが、「ヒメビシ」
ヒシより大きく、4本刺針があるのが、「オニビシ」

−薬効と用い方−
滋養、強壮、消化促進に、種子を生食したり、ゆでて食べる。

9〜10月頃、果実をとり、水洗いし日干しする。
胃がんに、刺針のある果実を煎じて飲む。
種子のアルコール浸出液には、抗がん作用があるといわれている。
胃がん、乳腺がん、子宮頸がんなど。


−古書からも−
「万葉集」にヒシを摘む歌があるので、古くから“菱の実”を利用していた。
他の書物にも。。。
「大和本草」(やまとほんぞう)1708年
※ 生にても蒸しても食う。飢えを助く。
「和漢三才図会」(わかんさんさいずえ)1713年
※ 菱の果肉は胃腸をよくし、五臓を補い、暑を解き、消渇を止む。
「本朝食鑑」(ほんちょうしょっかん)1697年
※ 滋養、強壮、二日酔い、消化を助けるなどの薬効をあげている。

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