薬膳の書

* * * 第三十九弾 * * 「韮(にら)」 * * *

葉にら 黄にら 花にら
 にんにくと同じユリ科でネギの一種。中国原産の多年草で、シベリア、モンゴル、アムールなどにも分布している。漢名を韮(キョウ)という。日本へは九世紀頃に伝わったとされ、「古事記」「日本書記」にも登場する。別名「起陽草」の名があり古くからスタミナのつく野菜・野草として扱われています。
露地ものの収穫は4〜9月で、傷みが早いので、晴天日に収穫をし即日出荷される。俳句の世界では春の季語で、「韮の花」は夏の季語となります。白い花が咲きます。                                     −ユリ科−

−効能・薬効−
ビタミンやミネラルが豊富に含まれている。カロチンは、1束で1日の所要量が摂取でき、ビタミンCとEも1/3を摂取できる。カロチン、ビタミンC、Eはガンを撃退する働きがある。独特のにおいは、にんにくと同じ「硫化アリル」で、胃液の分泌を促し内臓の動きを活発する。また、ビタミンB1の吸収を高め新陳代謝を活発にする。このため、血行をよくし、胃腸の機能を整える。生理痛を改善し、風邪を予防する。冷え性の改善にもつながる。セレンも含まれており、体内の過酸化脂質を取り除き、活性酸素の発生を抑える働きがある。ガンの予防に高い効果が期待されている。
黒い種子は、韮子(キョウシ)と呼ばれ、漢方では泌尿器系の疾患に用いる。

−調理のポイント−
薬効成分のアリシンは、揮発性+水溶性なので、切ったり洗ったりなどの下ごしらえは素早くする。火の通りも早い。
加熱すると、においが和らぐ。ゆでる時は、短時間でサッと熱湯に通す。
にらと言えば、ニラレバ炒め。ボリュームと栄養も満点ですが、風邪や腹痛の時はお粥に入れたり、雑炊に入れたりして利用すると、体を温める上、症状も和らげてくれる。

−種類−
普通、ニラと言えば葉ニラのことだが、色と食用する部分によって区別され、
「葉ニラ」「黄ニラ」「花ニラ」がある。

葉ニラの品種は、中葉のグリーンベルトや大葉のタイリョウなどがある。

黄ニラは、黄色いニラという種類があるのではなく軟白種で日光があたらにようにして育てたもの。やわらかく甘いのとにおいも強くない。中国では「韮黄(ジュウホワン)」という。炒め物やおひたしにして、また、スープに入れても、彩りがきれい。

花ニラは、ニラの花茎が伸びてつぼみをつけたもの。中国野菜として市販され、香りと甘味がすぐれている。中国では「韮菜苔(ジュウツアイタイ)」という。肉類といっしょに炒めることが多い。ゆでてごま油を使った和え物にしてもおいしい。

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